暖かな日差しと朝ご飯の匂いにつられ台所へやってくる
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、ハイドロゲン」
「もう少しでご飯出来るから待ってて下さい」
「ああ」
そう言って居間に座り新聞を読む
「うーん。野菜の値段が上がらないな・・・」
そのあとこの地方では三局しかないテレビを見る
「そうか、そろそろ花見の季節なんだな」
テレビを眺めているとハイドロゲンがお膳を持ってきた
「はい、お兄ちゃん」
ハイドロゲンはご飯、みそ汁、焼き魚、漬け物を置き自分は反対側へ座る
「何見てるの?」
「ん?ああ、桜は今週末ぐらいが見頃らしい」
「桜ですか?」
「ハイドロゲンは初めて見るんだな」
「はい。綺麗だという情報だけはインプットされていますけど見た事はないです」
「よし、今度の日曜は花見に行こう」
「本当ですか?」
「ああ、記録として持っていてもあまり意味がないからな」
そう言ってみそ汁をすすりご飯を食べる
「何よりも実際に見た光景は記録なんかとは比べ物にならない」
「そうなんですか?」
「その時に見て聞いて感じればそれが最高の記録となり永遠に残る事になる」
「日曜日、早く来ないかな」
「ま、焦らずゆっくり待つ事だな、でもご飯を待たせても冷めるだけだぞ」
「それもそうですね。それじゃあ、いただきます」
そう言ってハイドロゲンは食べ始めた
自宅の裏にある畑を耕す二人
「ここで何を育てるのですか?」
「何にしようかな・・・」
そう言ってハイドロゲンの足を見る
「大根にするか」
「何で私の足を見てそんな事言うのですか?」
ハイドロゲンはムッとしている
「冗談だよ。ハイドロゲンの足は大根足じゃないよ。でも色白だから大根と言えば大根かも」
「もう、お兄ちゃんのいけず」
「怒らない怒らない」
「ふーんだ」
ハイドロゲンは拗ねてしまった
「御免よ、俺が悪かった。だから機嫌直してくれ」
そう言って頭を撫でる
「じゃあ、あとでゼリー買ってくれる?」
「ああ、買ってやるとも」
「お兄ちゃん、だーいすき」
ハイドロゲンはそう言って抱きついた
その時サイレンが鳴った
「行くぞ、ハイドロゲン」
「(せっかくお兄ちゃんとラブラブなのに・・・)はい」
ハイドロゲンは少し残念そうであった
「ふむ・・・どうやら桜公園らしいな」
「桜公園ですか?」
「ああ、ここで花見をしようと思っていたから早く行って被害が少ない内に倒さないと」
「お兄ちゃん、早く」
ハイドロゲンは既にトラックに乗っていた
「今日はやる気だな」
「はい」
「それじゃあ、出発」
いつも通りトラックは発進した
「我ながら素晴らしい案だと思わないか?」
「シャー」
「ここを我々が占領して憩いの場とするのだ」
「シャー」
「と言う訳で私はこれから宴会の準備をするから見張っておけよ、モグラーン」
「了解」
そう言ってモグラーンは地中に潜る
そして数分後トラックが到着
「何か幕が張ってあるな」
「そうですね」
「でも気を付けていかないとな」
「はい」
そう言って公園に入ろうとすると地面が盛り上がりこちらの方へ向かってくる
「下がってください」
ハイドロゲンが前に出てそう言ったあとハイドロガンを数発撃った
しかし地面なので効果はない
「効かない・・・」
その直後ハイドロゲンの背後からモグラーンが現れハイドロゲンを殴り飛ばした
「きゃーっ」
「大丈夫か?ハイドロゲン」
「はい」
「誰だ?お前等」
「我々は正義の秘密組織『アトムズ』、『ニュートリノン』覚悟しろ」
「そうかお前達が姐さんが言っていた『アトムズ』か」
モグラーンがそう言うと幕の奥から前に会ったリーダーらしき女性が現れた
「誰が『姐さん』だ!『クラリス司令』と呼べと言っているだろ・・・ってまた来たのか、お前達」
「当たり前だ!・・・ってお前、クラリスって名前なのか?」
「別に良いだろ」
「いや、別に悪いとは思わないが・・・可愛い名前だな」
そう言うとクラリスは顔を真っ赤にして
「べっ、別に褒められても嬉しくないぞ」
その会話にハイドロゲンは
「あの・・・そろそろバトルを再開しても良いですか?」
「ああ、お前の力を見せてやれ」
「了解」
「ハイドロゲン、ハイドロガン」
ハイドロゲンはハイドロガンを構える
「潜るんだ、モグラーン」
するとモグラーンは地中に潜った
「これじゃあ当たらないよ」
ハイドロゲンはハイドロガンを連射するがモグラーンには当たらない
「フッ、フッ、フッ、当たらなければ意味がないからな」
「くそっ、何か良い手は・・・」
そう言って眺めた先には小川があった
「そうだ!ハイドロゲン、川へ行け」
「了解」
ハイドロゲンは川へと向かう
「勝てないと見て敵前逃亡か?正義の味方が聞いて呆れるな」
「誰が逃げるものか」
その後ハイドロゲンから通信が入る
「到着しました」
「良し。ハイドロゲン、ハイドロキャノン充填開始」
ハイドロゲンはバックパックからホースを出し水を吸い込み始めた
「で、この状況でお前一人何ができる」
「フッ、俺はハイドロゲンを信じてる」
「じゃあ、信じながら死ね。モグラーン、ヤツを倒せ」
モグラーンが地中からこちらに向かってくる
そして地中から現れ鋭い爪で攻撃する
しかしその爪は届かず横から大量の水を浴びる
「ぐわっ」
その水が出ている先を見るとハイドロゲンが居た
「お兄ちゃんは私が守る」
「良くやった、ハイドロゲン」
「くそう、しかし潜れば何て事はない」
そう言ってモグラーンは再び地中へ
「同じ手が何時までも続くと思うなよ。ハイドロゲン、ヤツの出てきた穴に向かってハイドロキャノン」
「了解」
ハイドロゲンは穴に向かって大量の水を流し込む
数秒後、水圧によってモグラーンは地中から弾き出される
「ハイドロゲン、もう一発ハイドロキャノン」
ハイドロキャノンは見事に命中した
「ここら辺の土は良く耕されているから好きだ〜」
その言葉と共に大爆発した
「ちっ、またしても・・・」
「おい、クラリス」
「何だ」
「花見するなら普通にしろ」
「くっ、覚えていろ『アトムズ』」
そう言ってクラリス達は去っていった
「今日はちょっとやばかったな」
「私が不甲斐ないばっかりに・・・御免なさい」
「いや、そんな事はないぞ。むしろ助けられたからな」
「お兄ちゃん」
「さ、帰って畑仕事しないとな。あと綾奈ちゃんのところでゼリー買わないとな」
「はい」
そう言って二人は帰っていった